こんにちは、
先週は、5日間、沖縄に台風がとどまっていました。
沖縄に来て、もう8年になりますが、あんなに長く、台風と一緒に過ごしたことはありません。
四日間くらい、家に引きこもりとなりました。
幸い、停電にもならず、集中して仕事をすることができました。
けれども、買い物に行くことができなくて、食料の買い出しなど、ちょっと困りました。何ごとも、最悪の事態を想定して、淡々と準備する、これが必要だと思いました。
自然と向き合う、自然から学ぶ、日本人にとって、これはとても大切な姿勢だと思います。
さて、皆様、オリンピックをどうご覧になったでしょうか?
私は、まとめて録画して、じっくり集中して見ています。
今回は特に、柔道について書いてみたいと思います。
柔道について詳しくない自分が書くのはなんですが・・・
私は、10年ほど合気道をやっています。
コロナになって、特に緊急事態宣言が延長されてから、なかなか、お稽古の機会がありません。けれどもその前は、週に3日、できるときは5日、合気道のお稽古をさせていただいてました。
武道に全く触れてない方よりは、少しは、日本の武道について、日ごろから考える機会が多いと思います。
リオデジャネイロオリンピックの時に、合気道の山口先生がおっしゃっていました。
今の「JUDO」は「柔道」ではない。
「柔、良く剛を制する」、嘉納治五郎が開いた道は、「力」の世界ではなかったはずだ。
背中をついてはいけない、このようなルールでは、「受け身」を取ることすらできない。
「受け身」をとらずして、何が武道か。。。
私は、武道のことになると、熱く語ってしまいます。
この時に、山口先生がおっしゃったこと、本当にその通りだと思います。
リオ・オリンピックの時から、山口先生は大野選手に注目されていました。
「日本の柔道で一番うまいのは、大野選手だよ」
画像はこちらからお借りしました。
このようにおっしゃっていました。
私も今回、1回戦からじっくり拝見し、「なるほどな!!」とうなりました。
皆さんもご存知の通り、大野選手は、今回も金メダルを獲得されました。
リオに続いて二連覇です。
そこで、大野選手の強さの秘訣、これを考えてみました。
皆さんは、立場によって様々なお仕事をされていると思います。
海外は、これだけ進んでいる。
けれども日本は未だに、このようなことをやっている。
日本は遅れている、
日本はダメだ、
皆さんのお仕事の中で、このように思われる場面もあるかと思います。
けれども、日本の大野選手の強さ、これを見てみると意外な視点が身につきます。
大野選手のように、世界との勝負で圧倒的に勝つ、
この秘密がわかるかもしれません。
私は、大野選手の強さの秘密は、次の点ではないかと思います。
1 氣魄(気迫)
2 重心(足運び)
3 真善美
4 正しく王道をいく
一つづつ説明しますね。
1 氣魄(気迫)
まず最初は、これではないでしょうか?
テレビで拝見していると、対戦相手の外国人選手は、このような大野選手の「圧」に押されているように見えます。大野選手に、じりじりと、間合いを詰められます。
大野選手も、おっしゃっていました。
「今のJUDOは、引き算の中のJUDO、いかに相手の得意な形をさせないか」
だそうです。
そうすると、柔道で外国人選手から出てくるのは、まず警戒心でしょう。
相手の様子を伺うような「気(気配)」が出るはずです。
けれども、大野選手は違います。
「正しく組んで、正しく投げる。」
これが、大野選手の魂の根底にあります。
だから、相手に与える気迫が違うのです。
外国人の選手からしてみると、このような雰囲気で押される、
これはおそらく経験がないのではないでしょうか?
そうすると、いくらビデオなどで大野選手を研究していても、何が違うのか、その根本が分かりません。
「何かが違う?」で終わってしまって、その深いところが分かりません。
警戒心バリバリの世界、これを「術」の世界とします。
大野選手はもとから、「引き算の柔道」という世界を自分の中に持っていません。
正しく組んで正しく投げること、
あるべき柔道を求めて、あそこまでいかれた方です。
一つの哲学(道)をご自身の中に持ってらっしゃる方です。
いわば、「道」の世界です。
自分が住んでいる「術」の世界と、全く違う「道」の世界が目の前に現れる。
だから、相手の外国人選手は、その気魄に飲まれるのです。
相手の世界と一線を画す、相手の世界で闘わない。
海外と仕事をする上では、大切な姿勢かもしれません。
2 重心(足運び)
大野選手の足運びには、合気道の「すり足」のように、畳を擦るような足運びも見られます。
海外の選手は、一般に重心が高いです。(腰高)
そして、上半身で技をかけようとします。
これは、合気道などでも同じです。
重心が高い上に、腕や肩など上半身の力だけを使おうとします。
外国人の合気道は「投げ」に頼る、「パワー合気道」となることが多いです。
これは、ほとんどの武道について言えるのではないでしょうか?
上半身の力で、技をかけようとするとうまくいきません。
結局は「力(ちから)対力(ちから)」の力比べ(腕相撲)になります。
これではプロレスやレスリングと一緒です。
大切なのは、下半身であり、腰です。
だから腰は、肝心「要」なのです。
合気道で、腰投げという技があります。
山口先生のお稽古では、この腰投げをお稽古することが時々あります。
それは、自分の「芯」と相手の「芯」を感じる、理解することを身に付けるためです。
「芯」と「芯」を重ねることが、腰投げの極意です。
これは柔道の投げ技にも通じると思います。芯は「心」と通じます。
「心」と「心」を重ねることが、相手と和することの極意なのです。
大野選手の下半身にはブレがないのです。
その上に乗っているご自身の芯(心)にもブレがありません。
これを相手の芯(心)と合わせることに、意識を集中させていると思います。
だから、絶妙な一本が決まるのです。
相手の選手からすると、自分の「心」を捕まえられてしまうのです。
だから、大野選手がかける「投げ」をかわすことができないのです。
仕事でのやりとりはどうでしょうか?
海外とのビジネスにしても、相手の「芯(中心)」をとらえることが大切です。
そこにしっかり潜り込ませるようにして、自分の「芯(中心)」を重ねます。
だから相手がグラリと動くのです。
この感覚をつかみたいものです。
3 真善美
大野選手は、「柔道『美しさ』を世界の方に伝えることができれば・・・」、
このような意味のことをおっしゃっていました。
宇宙に流れているのは「真善美」といわれます。
なんのこっちゃ?と思われるかもしれません。
仕事、スポーツ、学問などを極めていくと、宇宙の真理に触れることがあるようです。
その宇宙の真理とは、真性であり、正しく(善)、そして「美しい」のです。
大野選手が目指されている柔道は、まさにこの、真善美だと思います。
海外の方が、大野選手の技を紹介しているビデオが、たくさんYouTubeに流れています。
その中でも、よく「beautiful (美しい)!!」という表現を大野選手の投げに使っています。
日本語を理解しない方が見ても、大野選手の技は、単純に、とても美しいのです。
海外とのビジネスについても、この考え方が役立ちます。
事実(本物)は何か?
人として正しい事は何か?
どんな心が美しいのか?
これに心を配っていくと、海外の仕事や交渉で、しっかり闘えるのではないでしょうか?
4 正しく王道をいく
大野選手は、天理大学・大学院で柔道をお稽古されてきました。
「正しく組んで、正しく投げる」これが、天理の柔道だそうです。
解説の方がおっしゃっていました。
相手の動きや流れを封じ込める、相手に「させない」こと、
これを考えていると、自分も動けなくなる。
そうではなくて、相手にとらせる、(しっかり組む、正しく組む)ことで、自分に勝機がやってくる。。。
表現はよく覚えていないのですが、このような意味だったのではないかと思います。
この表現には、外国と日本の考え方の違いが現れています。
極端な例えになるかもしれません。
「少しでも相手に有利になるものは、一切与えない、奪うことに全身全霊をかける」
これが欧米のやり方です。
一方で、日本の考え方は「与える」のです。
与えるから、自分にも必ずチャンスが回ってくる、そこをしっかりとらえて、正々堂々と戦って勝つ、これが日本の考え方です。
「正しく組んで、正しく投げる」とは、このようなことを言っているのだと思います。
日本は現在、世界第3位の経済力を持っています。
この日本に対して、
「絶対に(勝負)をさせない、日本からは、ありとあらゆるものを奪ってやる」
このような姿勢で対峙する外国人もいるでしょう。
これに同調して、同じように考えてはいけないと思います。
それならば、「相手からあらゆるものを奪ってやる」と考えるのは得策ではありません。
奪うのではなくて与える。
与えるから、自分にもチャンスが回ってくるのです。
そこを正しく組んで、相手の心をとらえ、正しく投げれば良いのです。
策を弄するよりも、王道を行くのが一番の近道になる、
このような意味だと思いました。
さて、柔道、大野選手のダントツの強さ、その秘密は次のようなことだと思います。
1 氣魄→ 自分の宇宙で闘う
2 重心(足運び) →芯(心)を捉えて重ねる
3 真善美→美の探究
4 正しく王道をいく→ 与えて勝つ
私は、海外の方に、合気道とは何か、武道の真髄とは何か、
これを英語でお話しすることがあります。
上記のようなコツは、本当に英語で伝えるのが難しいのです。
何故かというと、その概念が、欧米にはないからです。
けれども一方で驚くこともあります。
大野選手もおっしゃっていました。
外国人選手の方が、日本人選手よりもより日本人らしい。
一度、こうした精神性を伝えると、外国人であっても、わかる方は深い理解を示してくれるように思います。
逆に、日本人の方が、このような精神性から遠く離れている場合があります。
遠く離れて、力と型と技の世界で戦っている。
奪う世界にとらわれている。
こんな例をみかけます。
それは、日本人が、相手の狭い価値観の中にとらわれてしまっているのです。
ある意味、欧米の価値観とは、力と型の修羅界です。
ガチでパワーをだして、ぶつかる世界です。
これに体の小さい、我々日本人がかなうわけがありません。
自分の住む世界を変える、自分の宇宙で闘う、
トヨタや京セラなど、日本の優れた起業家が作り上げた日本企業は、
このようなフィロソフィー(哲学)を身に付けているのでしょう。
そのような意味で、日本人が本当に参考にするのは日本の武だと思います。
「術(ストラテジー)」ではなく「道(みちごと)」だと思います。
より詳しくは、こちらをご参照ください。
座禅(静禅)VS合気道(動禅)=潜在意識の書換VS現実改善
モチベーションアップに合気道!
http://abrils.opal.ne.jp/philosophy/aiki_mind_posture1228/
心、日本の武道が究極的に求めるもの
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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