こんにちは、
今回は会社上場で迷ったF社長の話を取り上げたいと思います。
それはビジネスをやっていく上で、1番大切な事は何かと言うことです。
言い換えれば、人生でとても大切な事は何かと言うことです。
F社長は、ニューヨークマンハッタンの摩天楼の話を聞き、不動産事業をやりたいという夢を抱きます。
F社長は不動産業を、不動産会社のパートから始められます。そこでどんどん手腕を発揮します。出資者となってくれる方と会社をつくります。
その会社の売り上げも伸び、保有する不動産も増えてきました。
けれども出資持ち分や経営方針でぶつかるようになります。
その問題を解決してくれた方Aさんが、新しいスポンサーとなります。Aさんが出資してくれて会社を作ります。Aさんの保有不動産の再生、バリューアップをどんどん手がけていきます。
この会社を上場しようとした時、Aさんが大株主であるならば、問題だと金融機関から言われます。Aさんの資産状況はAさん自身の会社の経営状況から判断されたのでしょう。
弁護士や会計士は、F社長にこのようにアドバイスをされます。多くの空ビルをテナントで埋めて、稼働するビルに変えた、会社をここまで大きくしたのはあなた、Fさんです、だから、会社のほとんどの株式はF社長が受け取り、Aさんに引いてもらうのが良いのではないか?と言うアドバイスです。
Aさんが問題になって上場できないのであれば、Aさんに何らかの報酬を払って抜けてもらったほうが、上場もできるし今後、会社も発展する、という考えです。
さて、これに対して、京セラの名誉会長、稲盛氏はどのように答えたでしょうか?
皆さんちょっと考えてみてください。
稲盛氏はこのようにおっしゃいました。
F社長と稲盛氏は、このような会話をされたようです。
「人として、あなたはAさんにその時、出会って、助かったと思いましたか?」
「はい、思いました」
「だったら、もう会社はお渡ししなさい。株は最も安く原価で買い取っていただいて、それからあなたは退職金をいただきなさい。辞めるときには、従業員は1人も連れて出てはいけません。あなた1人が徒手空拳で出て行きなさい」
F社長は、迷われたようですが、最終的にはこのアドバイスに従ったようです。
これにはいくつかの理由があると思います。
1 奪う人間ではなく、与える人間になるということ。
2 奪う意識の人から離れること
3 自分の心に目を向けることができること
4 動機を無にすること
このポイントについて説明します。
1 奪う人間ではなく、与える人間になるということ。
これは、「私を認めろ」と相手に自分を認めさせるような生き方ではなく、相手のために何が良いのかを考えて、持てるもの全てを与えていく人生にするということです。
「Fさんご自身も、『大変利己心の強い私』、『自己顕示欲の強い私』とおっしゃったように、女性でありながら下手な男性には負けない位の強い個性を持った方だろうと私も相談を受けながら思っていました。最初の共同経営者との間がうまくいかなかったのも、あなたの利己心、私が私がというもの(利己心)が災いしたのだと思います。」
稲盛氏はこのようにおっしゃっておられます。
同じことを私もこの方の文章を読んでいて感じました。例えば次のような表現です。
「地域に貢献しながら稼ぎまくりました。
大幅な現金収入をもたらすようにしました、
私はこの店を繁盛店に仕立て上げ、自信もついていきました。
この人のために錬金している」
不動産は、基本的な知識や、経験も大切です。けれども、時代の流れや、巡り合わせなどの運もあります。その人の手腕だけで結果が出せるわけではありません。
自分の力ではない、という謙虚な気持ちがあれば、このような文章は書かなかったのではないかと思います。
これは今の自分にも当てはまる内容だと思います。
時代の波というのがあります。そこにうまく乗れるようにどんな時でも努力をしていかなければいけない、このようなメッセージだと思いました。
2 奪う意識の人から離れること
奪う意識が強いと、自分の周りには、同じ意識の人が集まります。
テイカーと呼ばれる人たちです。
自分が受け取るのは構わない、けれども自分から何かを出すのは一切嫌だ、という人です。
自分の心がこの考えで固まっていると、周りにこのような人が集まってきます。
「奪い奪われる」人生になる。
仏教で言うと修羅道というやつです。
あるいはそれよりも下の、地獄界か餓鬼界かもしれません。
自分が既に持っているものに一切気がつかなくなります。
そして「ない」ことだけに気を取られます。
ですから他の人から奪うことに人生の全てをかけてしまうのです。
「私がFさんに全部差し上げて出て行きなさいと言ったのは、きついことだと思われるかもしれません。弁護士さんも会計さんも皆、Fさんは半分の資本金を持っているだけでなく、会社の資産も全部作ったのだから、それらはFさんのものだといったわけです。これは、その通りです。しかし、その分を分けるときに取ってしまえば、向こうはそういう道にかけては人一倍賢いに違いありません。そういう人と辞めた後も絡み合って揉めてしまったのでは、Fさん自身の一生をダメにしてしまいます。ですからFさんの将来のために、全部置いていきなさいと言ったわけです。」
稲盛氏はこのように説明されました。
次回は理由の3と4を説明します。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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