こんにちは、
今回は、稲盛氏が「共に生きる」というテーマでお話をされています。
宇宙や自然の中で、「共に生きる」姿勢で生きることができれば、幸福な人生を送れる。
このようなお話です。
我々、特に(私も含めて)経営者は、なぜこの「共生」が難しいのか?これを考えてみました。
その共生が難しい理由は、自分の中の「本音=潜在意識」と「建前=顕在意識」があっていないからではないかと思います。
「」内は稲盛氏のお言葉です。
「私たちは、自分で勝手にこの世に生まれてきたわけではありません。
何かの縁や必然性で、世の中のため、人のためになるように、われわれは生を受けたのだと思います。」
「特に皆さんの場合は経営者でいらっしゃいますから、そういう意味では、自分のためだけの人生では無いはずです。少なくとも数人でも従業員を雇用されていれば、彼らの為にも皆さんが疲れたり、投げやりになったりしていたのでは困ります。『従業員やその家族のために、なんとしてもがんばらなければならぬ』と自分に言い聞かせて、この人生をポジティブに生きることが絶対に必要です。」
→ 人生をポジティブに、これがキーワードです。
人生には後半と前半があります。
後半は使命を生きるための時間です。
前半は、その使命を生きるために、必要な経験、知識、人間関係を作る時間です。
ここでいうポジティブは、このような発想だと思います。
「もしかしたら、これまでの人生の前半が、すべてこの後半のための準備だとしたら・・・?」
こう考えることです。今これを考えてみることが、人生をポジティブに生きるきっかけになると思います。
稲盛氏もおっしゃっているように、「自分の意思ではなく、この世に生を受けた」、この考えは、違うような気がします。
私はこのように考えています。
宇宙の中の評議会、あるいは絶対的な存在、というのがあります。
稲盛氏は、これを「宇宙の意志」と呼んでらっしゃいます。
その中で、世の中をこのように進化発展させていこう、という方向性が決まります。
これは常に進化発展で、ベクトルは反対の方向(永遠に後退し続ける)ではないと思います。
その方向の中で、人間一人一人に役割が作られます。
その役割に応じて、人間に使命が与えられます。特定の役割を与えられた人間が、地球上に降りてくる。私はこのように考えています。それは稲盛氏もおっしゃるように、たまたま、Aという人にリーダーという役割が与えられる、という天の采配だと思います。
ところで、人間の人生を前半と後半に大きく分けるとします。後半は、その人間の使命にあたる部分です。宇宙評議会や大いなるものが決めた役割、使命を果たすことが、人間の人生の課題になります。そうすると、人生の前半は何のためにあるのでしょうか?実は、人生の前半に起こる出来事は、後半の使命を生きるためのトレーニングです。人生の後半で、このような使命を果たすことになる、そのために必要な知識、技術、経験、人間関係、これを作るために人生の前半がある、このように考えています。
稲盛氏の場合は、
結核を患ったこと、
戦争を経験したこと、
戦後の大変苦しい時期を生きたこと、
松風工業に入ったこと、
セラミックの開発に従事したこと、
京セラを立ち上げたこと、
これらが全て、人生の後半に必要不可欠な出来事のように思います。
私は、人生の前半では、次のようなことがありました。
父親が騙され、不動産を無くし、事業に失敗したこと。
不動産の資格を取って実務を経験したこと、
この実務の分野を日本だけでなく海外にも広げたこと、
外国人と結婚したこと、
こうしたことが、人生の前半にあり、これが自分の人生の後半に生きてくるのではないかと思います。
この前半と後半をふまえて、ここで稲盛氏がおっしゃっている、ポジティブの意味を考えたいと思います。
現代の日本人、特に40代から60代前半位の世代でしょう。この方たちのキーワードは、「自分が損をしないこと」だと言われています。
私はこの話を聞いて、なるほどなと腑に落ちました。
この世代の人々の親は、戦争の影響を強く受けています。
親の一番の願いは、子供が何とか生き延びてくれること、だったはずです。
他と違うこと、世間のいわゆる「常識」と離れたことをする、それはそのまま、死を意味したり、とても辛い目にあう、これを意味しました。
ですから、現在の40代から50代の人たちには、次のことが大切でした。
親の言うことを聞く、
横並びでいる、
努力をしてエリートになる、
これと、経営者になることを考えてみます。
自分で事業を作っていく人と、親が作ってくれた事業を受け継いでいく人と、社長になった経緯は違いますが、基本的な考え方は共通してると思います。
自分は、これまでたくさん努力をしてきた。
それは、自分が損をしないためである。
勉強して、いい学校に入り、いい会社に入れば、損はしない。
けれども、社長になって、自分の努力が報われない、損をしているような気がする。
これはおかしい。。。
40-60代の世代の人たちが、会社の経営者になり、潜在的に、このような思いを持っていてもそれは不思議ではないと思います。
ここでは、潜在意識(本音)と顕在意識(建前)の間にギャップができているのです。
顕在意識(建前): 自分が社長だから、自分の満足を捨てて、社員のために働くべき、献身的になるべき
潜在意識(本音): 自分はこれまで、こんなにも頑張ってきた、親の期待に応えてきた、社会のエリートになってきたはず、それでも報われない、それどころか、これ以上がんばらなければいけない、それは何かがおかしい
このように、潜在意識と顕在意識が、別の方向を向いているので、我々の苦しみがあります。
この苦しみの解消の仕方を稲盛氏はおっしゃっているのです。
「うまくいくはずだった事業がそうはならないのは、その事業をする人の心の中に不純なものがあるからです。自分で企画し、寝る間も惜しむくらい、無心に一生懸命頑張れば、事業というものは全てうまくいきます。」
→ 不純なものというのは、潜在意識と顕在意識が一致していないということです。何かがおかしい、自分が報われていない、このような思いとそれに関連する感情です。
我慢、抑圧、恐怖、不安、寂しさ、悲しさ、これらに全て蓋をします。
そして、報われない自分を見ないようにします。
自分で自分の心の声を無視するので、自分の中の意識の不一致、不満がより大きくなっていくのです。
この本音と建前を合わせていくには、次のことが必要です。
1 目の前の小さなことをしっかり「ど真剣」に取り組む
「つまり共生とは、必死で生きていくことをいうのです。必死で生きるその中にこそ調和があるのです。ただ単におすそ分けをしたり、談合をして棲み分けをしたりするという意味ではありません。ましてや、相手をつぶしたり、やっつけたりして皆殺しにして自分だけ生き残ろうというものでは決してありません。」
2 宇宙の意思に(心の)目を向ける
「このように、素粒子は、素粒子のままではなく、原子核を構成し水素原子となり、分子、高分子蛋白を作り、それが調合されて初めて一個の生命体である単細胞を作るといった自然の営みには、自然の意思というか、宇宙の意思が感じられます。」
3 毎日、いままでとは違うことをやってみる。
「進化する考え方を『プロ・エボリューション』と言っています。その宇宙が持っている意思、進化と同調し、調和するような心とは、建設的、肯定的でポジティブなものです。つまり、善きことを思うことは宇宙の進化に同調することなのです。」
4 良い氣にふれる
「この場には、みんなを幸せにしていこうという素晴らしい気が流れています。これは私だけではありません。私の話を何回も聞かれる人がたくさんおられます。そうした方は、皆そう思って来られるのです。」
さて、まとめますと、我々には、本音(潜在意識)と建前(顕在意識)にギャップがあるので、苦しさ、生きづらさが生じています。
これを合わせることができると、人生をポジティブに生きることができます。
そのためには、日々の小さな仕事に大切に取り組み、宇宙の意思に意識を向け、常に非日常的なやり方を試み、善い氣に触れる、このようなことが大切になります。
今日も考えるヒントと検証の機会をいただき、ありがとうございました。
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