こんにちは、あなたの心に寄り添う自分軸アドバイザー、ユキーナ ・サントスこと富塚祐子です。

今回は京セラの名誉会長、稲盛氏がAVX買収の経緯と記録を語ってくださっています。

一方、京セラ・フィロソフィーでは、「愛と誠と調和の心をベースにする」と語られています。

ごく最近になって、私はこの箇所は宇宙の真理・法理法則を説かれている、と思いました。宇宙の真理・法理法則とは、男女の性と和合(セックス)、生命の誕生です。

以下、京セラフィロソフィの文言と、私の解釈を付け加えました。

「愛」とは他人の喜びを自分の喜びとする心であり

→これが性交の根源です。

「誠」とは世のため人のためになることを思う心

→ これは男性性の本質=究極の利他の心、わが身を犠牲にする心です。

「調和」とは自分だけでなく、周りの人々みんなが常に幸せにいきることを願う心

→ これは女性性の本質=相手と和して自分の使命を全うする「合気」と「受け身」の心です。

今回のM&Aの本質は、このような二つの性(存在)の融合です。ですから、稲盛氏の説明からも、京セラフィロソフィのこの部分、「愛と誠と調和」のメッセージを強く感じました。

M&Aにあたって、この「愛」(=結合)という観点から、今回のお話を拝聴しました。

相手と一つになるための要諦は下記です。

1 相手の見えない部分に光をあてる

2 宇宙の視点をもつ

3 相手の気を読む

4 プラスの意識で行う

5 数字の裏にいる「人」をみる

6 相手の意識を読む

7 必要性の王道を解く

8  自我をなくして受け身を取る

9  生み出すことがMAの本質

 

1 相手の見えない部分に光をあてる

 

「よく、『半導体は産業の米』といわれるが、そうであれば、電子部品はムギや大豆のようなものだろう。今後エレクトロニクスの世界が百花繚乱の展開をしていくのを根底から支えるのは、高性能の電子部品だ。そのような電子部品を世界中に供給し、世界中のユーザーから信頼される大規模な事業になっていくことが、事業を、ひいては企業を永続させる経営になるのではないか。一般に電子部品は華やかさがなく、セットメーカーに買い叩かれて、少しも儲からない仕事だと言われている。しかし、そのように地味な電子部品にこそ利があると思う。なぜなら、まだまだ合理化の余地があり、様々なことに取り組んで収益性を改善していきさえすれば、大きな利益につながるはずだからだ。もしAVXと京セラが合弁できれば、京セラの将来は大変、面白いものになるのだが。」

 

→ こちらは、京セラフィロソフィーや機関誌を読んでいつも感じることです。

光が当たらないところに光を当てる。これを稲盛氏は本能的に目指されているように思います。なぜならば、1競合が少ないこと、2、創意工夫により、利益を作り出す確度が高いこと、3、自社にノウハウが溜まっていくこと、4、企業の多角化を図ることができること、5、優秀な人材を自社に迎えることができること→ 地味な仕事を根気強く続けている者の中にこそ、本当のリーダーがいる

おそらく、このような意図がおありになるのではないかと思います。

なるほどな、と思います。おそらく他にも光が当たらないところに光を当てることの重要な意義があるかもしれません。弊社が業務拡大していく上でも、大変に参考にさせていただきたいと思います。

 

2 宇宙の視点をもつ  3 相手の気を読む

 

京セラアメリカ社長が、AVXのバトラー会長と会ったそうです。

「会ってみると、噂に違わず大変な堅物です。私ではどうにも歯が立ちません。1時間半の間、彼がずっと話し続けて、最後に『あなたは何をしに来たのか?』と言われる始末でした。おそらく京セラの風土には合わないタイプの人ですので、この話は、これ以上進めないほうがいいと思います」と(京セラアメリカの社長が稲盛氏への手紙に)書かれていました。・・・後日、バトラー会長から連絡があり、『あなたの所のランゾーン社長が話をした事は、冗談だと思っていましたが、脳裏に残り、大変、気になっていました。具体的にどのような提案かわかっていません。ですが、いろいろ考えてみると、AVXが今後も発展して、生き残っていくためには、そのような合併も面白いのではないかと思い始めました。』
そこで稲盛氏は、AVXの欧米に所在する工場を精緻に見学し、このようにおっしゃいます。
「私は、最近のアメリカ産業の衰退、空洞化という現象を大変憂いていましたが、AVXという会社は素晴らしい哲学を持っていて、従業員も皆、素晴らしい働きぶりでした。生産性にしろ、働く雰囲気にしろ、今まで私が見てきた他のアメリカの会社とは違い、目を見張るものがありました。・・・ヒースロー空港まで移動する間に機内と空港のロビーでバトラー会長と話をしました。私が彼に、『大変素晴らしい工場なので、下請けをお願いすることになれば、非常に面白い展開ができると思う。ただ、せっかく連携するのであれば、前にうちのランゾーンがあなたに話をし、あなたも少しは考えてくれたと思うが、合併という形はどうだろうか。京セラとAVXが合併すれば、事はもっと簡単で、下請けをするとかしないというレベルの話ではなく、もっとお互いの連携がうまくいくのではないか』と言いますと、『いや、実は私もその話を切り出そうと思っていました。合併が1番いいと思います』と言ってくれました。

 

→ ここには、2人の会社の社長の「気」のやりとりを深く感じます。

稲盛氏は、AVXの工場の全てを見て回りました。

稲盛氏は、会社は「社長の器」以上にはならないと言われます。

とするならば会社の工場や本社すべての部分は、社長の体ということになります。

その体を稲盛氏がじっくりと見て回り、細かいところまでしっかり理解し、その体の細部にわたり敬意を持って愛情を送られたのだと思います。

この愛情が伝わり、バトラー会長は「あなたとならば一つになっても良い、いやむしろ、あなたと一つになりたい」と思っていただいたのではないか、と私は感じるのです。

 

自分の心や魂の根底に、「愛と誠と調和」が流れていれば、このような「気」のやり取りは容易にできます。常に宇宙の視点から物をみて、相手の「気」の流れを細心の注意を払って察する。そのためには、いつも稲盛氏がおっしゃるように、自分自身の心を綺麗にしておかないといけないのです。相手の心が自分の心にクリアに映るように、心を綺麗にしておかないといけないのです。執着や固定観念で曇った心では、相手の真意はわかりません。

 

4 プラスの意識で行う

 

稲盛氏はこのように続けます。
私は日米間の企業の合併・買収の方法はどうあるべきか、という事はかねてから考えてきました。昨今の日米関係を見ていますと、貿易摩擦に端を発して、日本企業がアメリカの不動産を買い漁るという現象が起こっており、反日的な雰囲気が高まっています。今後、なんとか両国間で強調して仕事を行い、今後の経済発展につなげていかなければならないのに、現在の日米関係は決して、いい雰囲気ではありません。

『現金でおたくの会社を買収すれば、京セラという日本企業が財力にものを言わせて、アメリカで一番大きな電子部品メーカーであるAVXを乗っ取ったという印象が、アメリカ国民の間に広がってしまう。だから今回は、株式交換という方法にしたらどうだろう。。。。現在AVXの株式を持っているアメリカの株主が、AVXと京セラが株式交換で合併することにより、そのまま規模の大きくなった京セラの株主になれるということだ。AVXの株主は、一方では京セラに支配されたように見えるが、一方では京セラを支配するような形にもなってくるわけだ。同じ国の会社が株式交換をする場合は、単なる合併の一手段に過ぎないが、合併が2カ国にわたり、また国民感情が現在のように悪くなっている状態では、合併の持つ意味合いは異なってくると私は思っている。だからいろいろな困難があっても、何とかして株式交換を実現させようではないか』、バトラー会長自身もAVXの大株主でしたから、そのほうがいいと同意してくれました。」

 

→原理原則、人間として何が正しいのか、大きな和を生み出すにはどうすればいいのか?このような視点から、M&Aのやり方が考えられています。単なる二社の間のやり取りではなく、より大きな宇宙の視点を感じます。

そして、他によかれし、という巨大なプラスの意識を感じます。

こうした意識があって、初めてM&Aが成功のうちに成立するのだと思います。

 

5 数字の裏にいる「人」をみる

「アメリカとヨーロッパにあるAVXの工場を見せてもらってる間、私はAVXと京セラの財務諸表をずっと見比べていました。そして、その結果、その値段(AVXの言い値)で交換しても大丈夫だと判断していたからです。(稲盛氏は1株あたりの数値をとことん計算しておられました。そこから、AVXの株主が気持ちよく売却してくれる価格、さらにその買収が京セラの株主に迷惑をかけない価格、この1点を分析されていたのだと思います。)

 

そのような視点から指数を見比べてみると、30ドルであれば目減りもなく、非常に良い形の合併になりそうだと思いました。それで「5割増の30ドルで結構です」と即答したら、バトラー会長が驚いていたわけです。一般に、株式交換を行う場合には、買う側はがめつく買おうとしますし、売る側もまた、がめつく売ろうとします。ですから大変、根気のいる交渉となり、時間が長くかかるものですが、私の場合には、事前に判断材料となる指数を頭に入れていたので、バトラー会長が「5割増で交換してください」と言ったことに対し、「結構だ」と即答できたわけです。今日は、このような周到な準備を伴ったネゴシエーションが大事だということをお話ししたかったのです。」

 

→おそらく稲盛氏は、AVXの付加価値の源泉を既に見抜いておられたのではないかと思います。それは稲盛の最も重きを置いている人間、人材ではないかと私は感じています。それが実際の価値に現れている、けれども株価はそこに連動していない、過小評価されている、だから、○割増で買ったとしても、十分採算が取れるはずだ。このようにお考えになっていたのではないかと思います。

 

6-9は次回のブログでお話します。

 

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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