こんにちは、
京セラという会社があります。創設者は稲盛和夫氏です。
設立後、40年間で一兆円の売上企業に発展しました。
経常利益が10%以上あります。
四国の愛媛にジョー・コーポレーションという会社があります。
稲盛氏が、この会社の経営方針や経営概要を聞いて大変素晴らしいと講評しました。
けれども2009年に会社更生法の適用を申請し、2015年に倒産しました。設立後65年で倒産となりました。
何が違ったのか、盛和塾機関誌77号から考えてみました。
理由はたった一つだと思います。
稲盛氏は、創業の時から終始、「全従業員の物心両面の幸福の追求」を目的とされています。
ジョー・コーポレーションの中岡社長も最初はそうでした。お客様と社員が自慢してくれるような立派な会社にしよう。このように思って会社経営に当たってこられました。
けれどもそれがいつの間にか、従業員の幸福を犠牲にしてでも、拡大し、知名度を上げること、これが事業の目的と意義になってしまいました。
私はこのように、ジョー・コーポレーションの倒産理由を考えます。
稲盛氏は、国交省の幹部管理職に講演を行いました。
2007年、リーマンショックの前のことです。
この中で、ご自身が会社を立ち上げたときの話をされました。
「稲盛和夫の技術を世の中に問う」これを目標にして京セラが作られました。
けれども、従業員から給料と雇用を保障しろと迫られます。
三日三晩の話し合いの際に稲盛氏は悟りました。会社とは従業員の幸福のために存在するのだと。
その結果、稲盛氏は、全従業員の物心両面の幸福の追求を事業の目的に据えました。
盛和塾の機関紙第77号から抜粋します。稲盛氏がジョーコーポレーションの経営者に伝えた言葉です。
「あなた方兄弟が立派なのは、建設業界にありがちな悪しき習慣から決別しようと考えたところです。
(官庁工事、手形決済等を止めました。)。。。。一つ気になることがありました。
あなたが財務バランスを守りながら堅実な成長発展を目指そうと言った時に、お兄さんは
『大きな成功を目指していこう。世界の建設業界の模範になるような会社にしていこう』と反対します。
そして新卒の学生をどんどん採用して、たくさんの社員を抱えて人材を育成し、M&Aもやりながら、四国だけではなくエリアを広げ、積極的な展開をしていきます。
私はあなたの会社の売り上げと利益だけで、財務諸表を見ていません。
キャッシュフローとバランスシートを見なければ指導してあげる事はできませんが、おそらく総資産に対する自己資本の比率は高くないと思います。
外部からの借り入れが多いのではないでしょうか。
「まさかの坂」は何回もやってくるのです。
だから、「まさかの坂」に遭遇してもエンストしないようなエンジンを積んでいなければならないのです。
そのためには財務内容が充実していなければなりません。
そうなると、やはり「足るを知る」堅実な経営がいるわけです。
京セラも、私は慎重に慎重を重ねて経営をしてきました。
慎重にやっていっても、大きな会社に発展していくことができるわけです。
慌ててやる事はありません。堅実に展開しながら、会社を発展させていくことです。」
人間は嘘をつくことができます。
そしてまた、心に思い描いたことが、現実として現れます。
従業員が自慢できる会社にしたい、社長がこのように言っていても、それは従業員のためではなかったのでしょう。
厳しい言い方かもしれませんが、「馬鹿にされたくない」という自己顕示欲を満たすためであったのかもしれません。
もう一つ別の話をします。
ある学習教材を販売している会社さんです。子供の夢を叶えたい、優秀な人材を育てたい、この会社の理念は素晴らしいものでした。
けれども、思った以上に競争が激しく、この会社は、教材の販売価格を下げざるをえませんでした。
もともと、その会社は多額の借金を抱えていました。さらに補助金ももらっている会社でした。このような会社は、とにかく売り上げを作らなければいけません。そのために、営業人員を増やしました。けれども、営業にかかる経費を増やさないようにするため、顧客が、次の顧客を呼んでくるいわゆる「ネズミ講」のような仕組みを取り入れることとなりました。
事業の理念は素晴らしかったのですが、人がついてきませんでした。
理念が絵に描いた餅のようになっていたのかもしれません。
お客様のために、とうたいながら、経営者の自己満足、自己顕示欲を満たすための道具に会社がなってしまっているのです。
人間は誰しも、幸せを求めます。
社長が人として、幸せを求めてはいけない、ということではありません。
社長にはリーダーシップがあり、カリスマ性もあります。このような場合、社長の「人から認められたい」という欲望が前面に出ることがあります。そうなると会社経営は失敗するのでしょう。
従業員が幸せに働く、生き生きと働いている、これを見てありがたいと幸せになる。
社長はそのような人物であって欲しいです。
会社が倒産することなく、存続し、成長する、それは、たまたま起こっているのではない。そこにはおそらく理由があるのだ。
だから、私も含め、経営者の皆さんは、自分の器を、社長の人間性を高めていきましょう。
稲盛氏はこのようにおっしゃっているのではないかと思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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