こんにちは、
稲盛氏が仲間のために尽くすというタイトルで、アメーバ経営について語っていらっしゃいます。中でも、業績に貢献したアメーバ(グループ)に対して、彼らの功労をどのように報いるのか、この方針をお話しいただいています。
「人間の行いの中で最も美しく尊いものは、人のために何かをしてあげるという行為です。
人は普通、自分のことを第一に考えがちですが、実は誰でも人の役に立ち、
喜ばれることを最高の幸せとする心を持っています。かつて、真冬のアメリカで起きた飛行機事故で、
1人の男性が自らが助かるというその瞬間に、そばで力尽きそうな女性を先に助けさせ、
自分が水の中に消えてしまうという出来事がありました。人間の本性とはそれほど美しいものなのです。
私たち(京セラ)は仲間のために尽くすという同志としてのつながりを持って、
みんなのために努力を惜しまなかったからこそ、素晴らしい集団を築くことができたのです。」
「世のため人のために、仲間のために尽くすという事は美しい心が行うものであり、
また、それを行うことによって、その人の心はさらに美しく、かつ純粋になっていきます。
つまり、人格を向上させていくために、大変大事な行為であるわけです。
このことは仏教でいう「利他行」にあたります。仏教では、
他人のために尽くすという利他の行為を大変大切にします。
利他を積むことが悟りへの道だとお釈迦様は説いておられるのです。」
稲盛氏はアメーバ経営について説いています。
「(私は)1人の経営陣だけが経営を考えるのではなく、全社員が経営者と同じようなマインド、考え方、
精神でもって会社を運営していくことが、強い企業を作るはずだと考えました。。。。組織を小集団に分けて、
それぞれが1つの会社のように独立採算で運営されることにより、各人が収益を上げているかいないか、
無駄な動きをしているかいないかが把握できるようになります。これがアメーバ経営と呼ばれる管理手法です。」
さらに、この部分では、収益がたくさん出た部門の人たちにボーナスを出したり、高い給料を払う、
成果に従って利益配分を行うことの是非が書かれています。
「京セラでは、あるアメーバが業績に貢献し、会社全体の牽引役となって仲間のために貢献したとしても、
給料、ボーナスなど、金銭的に報いる事はしていません。その集団に与えられるのは賞賛と賛辞だけなのです。。。。
代償を求めず仲間のために尽くすことが人間として一番大切であると私が創業の時からずっと説いてきたので、
京セラの社員はたとえ自分の事業部が利益を出したからといって、ボーナスを余計にくれ、
給料をもっと上げてくれとは誰も言いません。。。。それは人間の心理を考えたからなのです。
もらったところは意識が高まり、しかし業績向上が果たせなかった事業部は意気消沈し。。。
業績がうまくいっても事業部の業績が(景気によって)落ちる時、やはり意気消沈してしまうはずです。
それでは会社全体が悲惨な状態になってしまいます。つまり、会社の業績がアップ&ダウンを繰り返すように、
人の心も決して安定しないのです。」
「よく頑張ってくれたところには賞賛を与え、周囲の従業員も『君たちが頑張ってくれたから、
会社がうまくいって、自分たちはボーナスをもらえる』 と感謝する。私はそのように、
好業績に報いる方法として、名誉だけを与えるという形をとってきました。それは、みんなで努力をし、
みんなで物心両面の幸福を実現しようと考えたからなのです。そのためにも創業の時から
『仲間のために尽くす』ことの重要性を強く説いてきたのです。」
これは、もしかしたら、言うのは簡単だけれども、実行するのが難しい箇所かもしれません。
そのために、スタッフ一人一人が、どうすれば、仲間のために尽くすことができるのか、
これを考えてみました。私は下記の行動が、仲間のために尽くすことを可能にすると思います。
1 会社がスタッフのメンタルブロックの解放に協力する
2 社員自身に選択してもらう
3 常に幸せを考えてもらう
1 会社がスタッフのメンタルの解放に協力する
人間が、金銭や物での報酬を求めるのは、その根底に、「自分が認められていない」という思いがあります。
心理学的に見ると、自分が認められていないと思う人には、特徴的な一面があります。
それは、だれよりも自分が一番、自分を認めていないということです。
自分自身が、自分の心に気づく事で、ほとんどの状況が好転していきます。
自分で自分を認めることができると、他の人を認めることができるようになります。
そして、自分のエネルギーを、世のため人のために使うことができるようになります。
自分が認められていない、この思いが強いと、無意識のうちに、自分が認められないような行動をしてしまいます。
けれども、潜在意識的に、自分が自分を認めていると、必要以上に外を攻撃したり、
自分を馬鹿にしたりすることがなくなります。
その結果、個人個人のパフォーマンスが上がるようになります。
こうした一人ひとりの心に向き合うこと、それは会社が一丸となって取り組んでも良いように思います。
会社がカウンセリングなどを積極的に行うことで、スタッフが自分自身に向き合うことができるようになります。
2 社員自身に選択してもらう
人は、高いボーナスや、役職、金銭等、お金やものを追い求めることができます。
そしてまた一方で、京セラのように、他の人からの賞賛と賛辞、これに重きを置いている会社もあります。
どちらを求めるかは、社員自身が決めることができる、このような仕組みにしておくと良いと思います。
「物質を追い求める方は、うちの会社には合わないので、申し訳ないですが、
他のところで頑張ってください」と会社はそのスタッフに合う道を勧めることもできます。
自分には選択肢がある、その中で選ぶことができる、これに気づいた時、
社員は「やらされて仕事をしている感覚」がなくなるように思います。
こうして能動的に仕事をすることが、スタッフの心を満たす方法の一つです。
3 常に幸せを考えてもらう
折に触れて、フィロソフィーの輪読会や、良い映画や本などの鑑賞会を行うのは良いことだと思います。
このようにして、考え方を共有する場を設けることが、従業員に真の幸福を気付くのに役立ちます。
こうすると会社全体のオーラが違ってきます。
人々の氣が自然と、「本当の幸せについて考える」、という方向に向かいます。
このような職場の雰囲気作りによって、人は自分が心の底に持っている本当の幸せに気づいていくことができると思います。
何が自分にとっての幸せなのか、それを一人一人がじっくり考えて、
その幸せを実行し、実現していくことができる。
それがこの会社なのだ、これが分かった時、
我々は、稲盛氏がおっしゃっている「仲間のために働く」の本当の意味を理解することができるのではないかと思います。
まとめますと、「仲間のために尽くす」、スタッフがこの気持ちをもてるようになるには、
スタッフ一人一人の心のケアをし、スタッフに選択肢をあたえ、
常に幸せを考えることができる環境づくりをすること、だと思います。
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