こんにちは、
稲盛氏は、ご自身の経営理念、ビジネスフィロソフィーを盛和塾という経営者の集まりで教えていらっしゃいました。盛和塾は、解散し、現在は存続していません。
こちらの例会でのコンパのときのお話です。
塾生の奥様、A子さんが、塾長にこのように質問されました。
「うちの亭主が、『社員に惚れさせんかよ』と塾長から教わりました。その惚れさすためには、何をどうしたらいいのか具体的に教えてください」
以下、A子さんのお言葉を引用します。
「。。。塾長がしばし腕組みされて。。。『なんと、このおばさん、えらいこと言い始めたわ』とちょっと嫌な顔をされたのです。。。。稲盛塾長は、このおばさんにどう言ったら自分の思いが伝わるかと考えられたのです。そして『あんたがな、一番旦那に惚れないかんわな』と言われたのです。簡単に答えるなら『お前がもっとちゃんとせんかよ』で終わったのでしょう。ところが、おばさんが質問したものですから、どう言ったら、このおばさんに伝わるかと考えておられたのだと思います。私は、『はぁー、鋭いところを突かれるな』と思いました。」
ここでおっしゃっている惚れるの意味を考えてみたいと思います。それは次のようなことではないかと思います。
1 尊敬する
2 話を聞く
3 大善を行う( 厳しくする)
4 信頼する
1 尊敬する
稲盛氏もおっしゃっているように、たとえ数名でも従業員を雇って事業をされている事は、大変立派な利他業だと思います。まず、奥様がこれに気づき、利他業をされている旦那さんに、「あなたは大変素晴らしい利他業をしている。このような利他業ができるあなたを、尊敬している・誇りに思う」と伝えることが大切ではないかと思います。人前であっても、ご主人と二人でいるときであっても、いつも尊敬の心を持って接し、ご主人と関わることが大切ではないかと思います。
2 話を聞く
A子さんのお言葉です。
「私たち地方の中小企業から稲盛和夫さんを見たら、とんでもない人なんです。その方が、こんな地方の〇〇を扱っている経営者にも、ド真剣にお話をしてくださるのです。それも、『はい、はい』じゃなくて、本当に真面目に考えて、一言一言を大事にお話ししてくださる事は、盛和塾以外にはないと思います。盛和塾のように、ド真剣に塾生の企業がいろいろな質問をし、こうであらねばならないという答えを自分の経験値と合わせて塾長がお話をしてくださるのは、他にはありません。。。誰も、噛んで含んでまで、そんな話をしてくれる先輩経営者はいないのです。それは自己責任だろう。経営は自己責任だよ、という結論で終わるのです。確かにそうですが、ちょっとした悩みでも真剣に聞いて、真剣に答えてくださったことが、主人はすごく嬉しかったのと、自分は何をしなければいけないかということが、どんどん明確になってきました。」
おそらく稲盛氏は、経営者の奥様に対しては、このようにお考えになっているのでしょう。ド真剣に、ちゃんとご主人の話を聞いていますかとおっしゃりたかったのかもしれません。
以前、稲盛氏が、どんなに遅くなっても、家に帰って食事をするときに、奥様に、その日一日あった出来事をお話しされたとおっしゃっていました。こうすることで、奥様が、稲盛氏と一緒に経営しているような気持ちになると、お話ししていたように思います。
奥様が、稲盛氏のようなアドバイスをする必要は無いかと思います。けれども、我が事のように真剣に聞く、これだけで、自分が大切に扱われている、という強い思いがご主人に伝わるのではないかと思いました。
3 大善を行う( 厳しくする)
稲盛氏の言葉です。
「…わかりますか。『いいわ、いいわ』という小善は、見た目にはきれいに見えます。ですが、自分の子供が可愛いからと甘やかして、利他の心と思って、一生懸命、『いいわ、いいわ』と甘やかして育てていけば、くだらない大人になってしまうに違いありません。まさに小善です。『それはならん』と厳しく躾をしていく。『獅子は我が子を千尋の谷に落とす』『可愛い子には旅をさせよ』という諺があります。『利他じゃない。無慈悲でひどいじゃありませんか』と思われるかもしれませんが、そのことが、実は利他であり、善なのです。それを『大善』といいます。『大善は非情に似たり』ともいいます。大善、立派な善き事というのは、見た目には厳しく、きついものです。小善を行う人は、優しい人のように見えます。ですが、それは大悪をなしているのに等しいことなのです。
→ 経営者の奥さんは、時にこのように、大善を行わなければならないのではないかとA子さんは書かれています。従業員では言えないこと、それでも、大切な事は、助言をする、アドバイスをする。あなたのことをとても愛しているので、これを伝えると言って、耳の痛い話をするのも、「惚れる」ことの1つではないかと思いました。
4 信頼する
A子さんは、おっしゃいます。
「(夫は)小さい会社の経営者の男ながらも、世間でこれからまだまだ舞っていこうとしている。。。」
京セラフィロソフィーの中に、「人間の無限の可能性を信じる」というのがあります。まず、経営者の妻が、夫の可能性を信じる、これが大切なのではないかと思います。
今回は、妻が、経営者の夫に惚れるには、どうすればいいか、というお話だと思います。妻が心から尊敬し、信頼し、真剣に話を聞く。妻が夫とこのような関係性を築いていれば、男性は自然と他の男性からも尊敬を集める、このようなことを稲盛氏は伝えられたのだと思いました。
気づきを与えていただいて、ありがとうございました。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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