こんにちは、あなたの心に寄り添う不動産・投資アドバイザー、ユキーナ ・サントスこと富塚祐子です。

今回は、元京セラの役員の方のお話がありました。

この方、西さん(仮名)が、稲盛氏についてのエピソードを語ります。

このエピソードから、いわゆる高学歴の従業員をどのように取り組んでいくか、そのコツが分かります。

西さんは、京大を出たエリートです。フィロソフィーを話しても、「このようなきれいごとでは世の中やっていけない」、「そんな幼稚な事は…」、と斜に構えて素直にフィロソフィーを受け入れられないようなタイプだったのではないかと思います。

 

リーダーは、このようなタイプのスタッフとどのように接していけば良いのかがわかります。リーダーがこのようなエリート社員をどのように育てていけば良いのか、今回のエピソードからこのヒントが分かります。

エリートタイプのスタッフを取り込むコツは、次の4つではないかと思います。

1 相手の正義を理解すること
2 相手の感情を解放すること
3 相手を責めるのではなく自分の感情を伝えること
4 惜しみなく褒めること

 

1つずつ説明していきます。「」の中は西さんの言葉です。

 

3 責めるのではなく自分の感情を伝えること

「・・・・ヨーロッパをめぐり、アメリカに渡りました。客先を訪問しながら注文を取ろうとしたわけですが、注文らしいものは全くありませんでした。その時、稲盛さんは私に、『西さん、1つも注文がない』といって涙を流されました。稲盛さんと私とでは、やはり物の見方が違っていました。ヨーロッパ、アメリカと初めての客先をまわるわけです。もちろん初めから注文が取れれば良いと思いますが、まずはお客様に社名、人名と製品を知ってもらい、その後やっと注文をもらえるものだと私は考えていたわけです。ところが、稲盛さんはそうではありません。初回の訪問であれ、なんとしても注文を取ろうと考えておられたのです。そこに考え方の違いがありました。私はその時に改めて『稲盛さんはすごいな』と思いました。私自身、そういう見方、つまり涙を流すほどの願望を抱いてお客様に接していませんでした。私は涙を流された稲盛さんを見て、ある意味で驚くと同時に、『この人はすごいな』と心底思いました。一般のセールスマンで、そこまで強い願望を抱いて出張に行っている人はいないのではないでしょうか?」

 

→ この話にはとても深い解釈ができます。海外との商談やコミュニケーションをするには、通訳がとても大切です。通訳が、本当にビジネスの内容を理解し、話し手の意図を正確に理解することが大切です。話し手は何を望んでいるのか、これを理解した上で、言葉を選びながら適切に訳していくのです。

西さんの役割は通訳でした。けれども稲盛氏は、自分の熱意が相手に伝わっていないとお感じになられたのだと思います。相手の反応を見て、自分がこれほどまで熱意を抱いていることが、相手にはほとんど伝わっていないのではないか、そのようにお感じになったのだと思います。

その時に、稲盛氏は、通訳である西さんを責めることをしませんでした。「私の熱意をどうしてうまく訳してくれないのか? このへたくそ!」このように相手を責めることをしませんでした。その代わりに、西さんの名前を呼び、自分の感情を伝えたのです。本当に注文を取りたいと思ってきている、誠心誠意努力している、それなのにそれが伝わらない、これが私は悔しいのだ、稲盛氏はこれを西さんに伝えました。

感情を伝えているので、相手を責めていません。ですから西さんは、自分が責められたとは思いません。人間は他の人から責められたと思うと、自然と防御態勢をとります。自分が悪くないことを証明しようとします。それではこの先のビジネスにつながりません。西さんに、どうすれば熱意が伝わるのか?通訳としての役割を真剣に考えていただくことが大切なのです。実際に稲盛氏はこのように考えていられたのだと思います。ですから西さんにその熱意が伝わって、西さんの、その後の素晴らしい仕事の成果になるわけです。

 

4 惜しみなく褒めること

西さんは、アメリカで、クライアントの工場の内部を見学することができました。

「。。。。工場で見たことを私は、全部レポートにまとめました。その時のレポートは、十数ページほどあったと思います。私は普段はメモを取らないのですが、その時はしっかりメモをとって、ホテルに帰ってからそれをつぶさにレポートにまとめていきました。その製品がどういう部分にどのように使われているのか、その製品を作る上ではどういうことが大事なのかということを、ずっとかいていったわけです。私はそのレポートを稲盛さん宛に送りました。後日聞いた話ですが、私のレポートを読まれた稲盛さんが泣かれたそうです。『この製品を作るために、これだけのレポートを書いてくれた』ということをみんなに話をして、稲盛さんが涙されたと聞いています。」

→ 稲盛氏は、相手の仕事の成果、パフォーマンスを惜しみなく褒めているのです。実際本当に、心の底から涙が湧き上がってきたのだと思います。これだけの素晴らしい仕事をしてくれた、それは西さんが有名大学を出た、優秀な人であったからではない。優秀な人であるだけではなく、謙虚さに気づき、みんなのために働くことを理解し、自分ができる最大限のことを一生懸命努力してくれた、そこに稲盛氏が感動されたわけです。

部下の教育がうまくできないと嘆かれる社長さんがいます。その時に、「その社員も10個の仕事をしたら、10個全てがだめなわけではない。1つか2つは良い仕事があるはずだと思う。その良い仕事に対して、褒める言葉を投げかけていますか?」とお伺いすることがあります。「それはやっていなかったかもしれない」と社長さんがおっしゃいます。

また、ご主人との婚姻関係は、もう修復が不可能だ、あんなわがままな人とは一緒にいられない、という奥様に対して、「ご主人が子育てや家事を手伝ってくれた時に、『やってもらって嬉しい』と伝えた事はありますか?と聞くと、それはしていないとお答えになります。やってくれるのが当たり前、でもそのやり方が気に入らないので、奥さんは怒っているのです。そして『自分だけがいつも忙しい』と嘆いています。相手が良いパフォーマンスをしたときに、惜しみなく喜ぶ、褒める、これをしていない方がとても多いように思います。私自身も含めて反省したいところだと思います。

さて、まとめますと、エリート社員を教育するときに必要な事は次の4つではないかと思います。

1 相手の正義を理解すること
2 相手の感情を解放すること
3 責めるのではなく自分の感情を伝えること
4 惜しみなく褒めること

これらを実行する基本が「善」であり、正しい考え方だと西さんはおっしゃいます。「世の中には、カリスマ性を持った指導者はたくさんいます。しかし、往々にして、それらの(指導者の)多くは、恐怖によって人を引っ張っています。稲盛さんの場合には、そうしたカリスマ性とは違った、人を正しく導く、真の指導力を持っておられたということです。稲盛さんは稀有で偉大な指導者だと思います。」

善とはどのようなことでしょうか?

稲盛氏の考えるプラスの考え方を列挙してみたいと思います。

 

常に前向きで、建設的であること。

また、みんなと一緒に仕事をしようと考える協調性を持っていること。

明るいこと。

肯定的であること。

善意に満ちた心を持っていること。

思いやりがあって優しいこと。

真面目で、正直で、謙虚で、努力家であること。

利己的ではなく、また強欲でないこと。

「足る」を知っているということ。

そして、常に感謝の心を持っていることです。

 

プラスの考え方とは、今いったような事を備えていることであり、一言で言えば、「善き考え方」であり、「良い行いをする」ことです。

 

頭が良くて立派な学歴があり、キャリアがある方がトップになる例が多いです。このような社長は西さんのタイプです。ですから、社長になる方が、ここで西さんが経験したように、しっかり「育てられる」ことが必要だと思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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