こんにちは、
ある経営者(Kさん)の経営体験発表がありました。
自分がたまたま勤めることになった会社が、会社更生法が適用されるに至った。
お手伝いをしていく中で、自分がこの会社の代表になった。
借金の返済が完了して、再スタートを切ることができる。
このような内容を発表されました。
これに対して、稲盛氏が「自分自身の中にフィロソフィーを作り、さらに素晴らしい会社にしてください」とおっしゃっています。
ここから10年経って、Kさんは会社の代表ではありません、役員でもありません。
今こちらの会社にいらっしゃるのか、それも不明です。
もしかしたら、こちらの会社を辞めていらっしゃるかもしれません。
その因果が、この方の発表された内容に見て取れます。
今回はそちらを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
私は下記がKさんの因果だと思います。
1 自分が被害者だと思っている。
2 素直さがない。
3 自分のエゴをスルーする。
4 「値決めは経営」を無視する
この方は、ご自身の経営体験発表を他の経営者の方の前で読み上げています。
その原稿の中に、数字の中に、稲盛氏は上記のようなものを読み取ったのだと思います。
ですから、上記のような非常に厳しい意見をKさんに対してされたと思います。
Kさんは、稲盛氏からの言葉を真摯に受け止めていたのでしょう。けれども彼女の無意識の中に、上記の失敗の要因を持っていたのだと思います。それは、意識しようと口では言っても、なかなか改めることができませんでした。それが今回の結果(社長でなくなる)になったのではないかと思います。
1 自分が被害者だと思っている。
Kさんはご自身とご主人のことを話し、離婚に至った記述をされています。
「デザイナーとしての感性と繊細な技能だけをプライドに生きてきた夫・・・これまで通りの暮らしぶりを繕おうとするばかりに、返済見込みもおぼつかない借入金で生活を染める・・・父親と言えるほど年上の夫に、私は従順でいること、可能な限りそう努めることを善しとしてきた・・・・(糖尿病になったご主人に)「あなたの老後と娘の将来を、これから私一人で抱えていく事はとても無理です。私と娘のために、せめて男として、お一人分の面倒をしっかりと見ていってください」
Kさんの発表にはこのような言葉がありました。
→ 私は、これまで何件か離婚するご夫婦の話を聞かせていただいたことがあります。
どちらかが一方的に、悪いと言うことは一件もありません。どちらも、同じ思いを相手に対して抱いている、というのが真実です。私はこんなにがんばっているのに、相手は一向に理解してくれない、自分を認めてくれない、このように、お互い思いあってるのが事実です。
稲盛氏も、以前、「割れ鍋に閉じ蓋」とおっしゃっていました。また、相手は自分自身を映す鏡でもあります。Kさんはご主人に対して、そして、自分自身に対して、感性や繊細さだけをプライドに生きていたのかもしれません。また、これまでの暮らしぶりを取り繕うところも(見かけや見栄を重視する)あったと思われます。そして自分自身にプレッシャーをかけていたものだと思われます。
娘さんに対して「ママは、その辺のママとは違うの。実はどんな家のお父さんより、お仕事する力があるの。ママを信じなさい、安心しなさい!」とお子さんに向かって断言したとあります。これもKさんが、何よりも強く、自分自身への不信と不安があったことを裏付けています。
おそらくKさんは、自分自身への不安や不信を強く持っていらっしゃる方ではないかと思います。
ご主人が病気になったり、借金をする、これは家庭内で男性のエネルギーが満たされないために引き起こされている可能性があります。妻が夫に対する尊敬や信頼をしないと、男性のエネルギーがなくなり、病気になったり、借金をしたりします。
Kさんが、向き合うものは、自分自身の中の不安や不信感でした。けれどもそこを向き合うことをしないで、他人で自分の不安を埋めること、そして他人を使って、自分の不信感をなくすことを求めたのです。だから父親のようなご主人を求めたようにも思います。
不安や不信の原因は自分自身ですから、他人が何をしても、この感情は解決しません。相手の行動の中から、不安や不信の原因となることを無理やり見つけ出し、自分の不安と不信よけい大きくさせます。それが上のKさんの言葉の中に現れているのです。
潜在意識の働きから見ると、Kさんは、自分で経営者となり、社会の中で男性の地位や役割を奪っていく方向を向いていたようにも思います。
稲盛氏のこれまでの教えでは、夫婦は、似たもの同士が寄り添っている、だから自分を責める前に、相手のダメなところを許し、よくぞこれまで自分と連れ添ってくれた、という感謝から始めなさいと言われています。(私はこのように理解しています)
このような考え方を持っていないと、人生や仕事での成功にはつながらない、それどころか結果がマイナスになってしまう、稲盛氏はこれをおっしゃってるわけです。
Kさんの言葉には、ご自身が被害者であるという意識が見て取れます。
現代の世の中に、被害者も加害者も本当はありません。それでも、自分が被害者だ、この気持ちを手放せないとしたら、それは仕事でも、人生でも悪い結果をもたらす、これを稲盛氏はおっしゃっているのだと思いました。
2 素直さがない。
「かつて東京で培った私の仕事のスタンスがどうも大阪の小規模な企業の幹部連中にはお気に召さないようで、上司の嫉妬や、いわゆる職場のいじめというものを生涯において初めて体験した時期でもありました。会社更生法申請の発表があった時…同じ辛さ、同じ痛みを持った職場の仲間がこんなにもいるのに、なんでもう少し落ち着いて構えてられないのか。私は正直、滑稽にさえ見えました。『私はたった1人で切り抜けてきたわ』と言う、自分の離婚体験からなる免疫力が備わっていたのだろうと思います。同時に、この会社にようやく手術のメスが入ると言う屈折した期待感も正直、私の中にありました。」
→稲盛氏はおっしゃっていませんが、おそらく、こうした「因果は全てあなた自身が招いたものですよ」、というメッセージがあったのかなと思います。
稲盛氏がよくお話をされる二宮尊徳の例があります。農作業の間に勉強するな、と言われて、「なるほどそれも道理だと思い」歩きながら勉強する。相手からの嫌味や悪意があっても、自分が素直に受け入れて、いつも明るく前向きに生きる、稲盛氏はこのような生き方をお話されました。
いじめやDV、精神的な虐待という話を私もよく聞きます。これも、その根本は、これを感じている方の心に原因があることが多いです。稲盛氏はKさんの言葉に、これを見てとられたのだと思います。
3-4は次回お話します。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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