こんにちは、
中小企業や、ファミリービジネスにとっては、2020年は大きな試練の年であったと思います。
また、この先、その試練を乗り越えていくためのヒントを探す一年でもあったのではないでしょうか?
そのヒントになるために、年末年始をどう過ごすかがポイントだったようにも思います。
世の中全体がお休みのモードになり、ほとんどの人が心を落ち着けて数日過ごすことができます。このような時が、この先を考える良い機会ではないかと思いました。
ファミリービジネスで、特に考えていただきたいのは、親子のあり方や、兄弟のあり方です。
昨年、聞いたYouTube動画の中で、特にはっとさせられたのはこちらです。
「ずっと仲の良い兄弟になるためには」
科学者の武田邦彦先生がお話しされている内容です。
このブログでも何度かお話をしたことがあると思います。
私は2009年の東北大震災の時、放射能の影響について、ずいぶん考えました。
その中で武田先生がおっしゃっている内容が一番、腑に落ちたのでそれ以来、武田先生のおっしゃることを、ずっと心に留めています。
それは、親子がなぜ喧嘩をするのか?
親子はなぜ意見の食い違いを起こすのか?ということです。
約5億年前に個体がオスとメスに分かれ、有性生殖が始まりました。
それまでの生物は、単性生殖でした。気温などの環境の変化に耐えられず、死んでいく個体が多かったので、オスとメスに分かれて、別の個体のDNAを掛け合わせるという仕組みができたようです。
こうして掛け合わせた新しい個体は、全く新しい特徴を持っている、これが有性生殖のメリットでした。ある一定の環境では、親の世代は生きられなくても、子供の世代は生きていくことができるのです。
ですから、外形的には似ていても、親と全く異なる特徴を持っている、これが自然界の摂理なのです。
そうでなければ、有性生殖を行って、次の世代を作る意味がないのです。
これを、ファミリービジネスに当てはめて考えてみます。
父親には、父親の成功方程式があります。その通りにやって、今の自分の地位があるわけです。ですから、子供が全く違うことをする、子供が独自の道を進もうとする、これに父親の価値観が反応します。
自分がこうして、成功のマニアルを作ったのに、なぜそれを無視するのだ?
子供のおまえは苦労しないように、私がこれほど頑張ったのに、なぜそれがわからないのだ?
なぜ自ら失敗する方向を選ぶのだ?
どうしてまた一から苦労するようなことをするのだ?
子供が失敗するのに、どうして親である自分が、みすみす指をくわえて、見ていなければいけないのか?
このような思いが、親世代には湧いてくるかと思います。
けれども、生き物の自然の摂理を考えてみると、これはとても自然なことです。
次の世代のときには、どのような環境の変化があるか分かりません。
親の世代のときには、経験しなかったような困難にぶち当たるかもしれないのです。
それは、親世代が生きている時かもしれませんし、あるいは親世代が亡くなった後かもしれません。
ただ一つ言える事は、世の中はすべて常ならず、です。
我々を取り巻く環境が、この先もずっと一定であるとは限らないのです。
これは何十億年の地球の歴史を見てきてもわかることです。
その予測がつかない将来に対応するために、子供世代は、自分と全く違う特性を持って生まれてくるわけです。
そう考えると、親と子供で意見が違うのは当たり前だと思いませんか?
というか、それが自然の摂理だと腑におちませんか?
親と子はそもそも違うもの、違うから意味がある、このように考えてみると、ファミリービジネスの新しい方向性が見えてくるかもしれません。
これまで自分が悩んでいたことが、悩むはずなどなかったのか?ということに気づいたりします。
私は、今から17年ほど前に、日本の会社を退職しました。
その会社には、大学を卒業してから12年ほど勤めていました。
その時には、私の父親も母親も大反対しました。私は当時33歳で結婚していませんでした。
親からすると、当時の適齢期?を逃した娘が、結婚もせずに会社を辞める、といったら「正気の沙汰じゃない」と思ったのでしょう。
もし親の意見を受け入れて、その日本の会社にずっといたとしたら・・・
私は間違いなく、精神を病んでいたような気がします。親の意識を考えてみると、親にとって、「心配する原因」になっていたかもしれません。これも親と子供双方の深い意識が作り出す現実です。親は心配する対象を欲し、子供は、心配というエネルギーをむけてもらうことを欲するのです。
この先、日本の経済も大きく変わっていくでしょう。かつては花形といわれた職場が、本当に安泰なのか疑わしくなってきました。この環境の変化に、生き残っていけるように、子供は親と全く違う性格や考え方、特徴を持って生まれるのです。
これは一つ、大きなヒントかなと思いましたので、皆さんと共有させていただきました。
同じことは兄弟にも言えます。
武田先生が、兄弟というのは、そもそも全く似ていないものです、とおっしゃっていました。
このYouTube番組の司会者が、「私も自分の子供たちを見ていて思います。同じように産んで、同じように育てて、同じものを食べ、同じ環境にいるのに、どうしてこうも性格が違って喧嘩をするのか?」
この疑問に、武田先生がお答えになっていました。
これも同じで、有性生殖が、新しい環境に耐えていける個体を残す、ということが目的なのです。同じ親から生まれた個体であっても、異なった性格・特徴を持った子供ができるのです。
このような意味のことをおっしゃっていました。
ファミリービジネスでも、皆さん、いやというほど経験されてるのではないでしょうか?
大人になり、それぞれが家庭を持ち別々の仕事をしていたりします。
そうすると、育った環境が同じでも、性格がことごとく違ってきます。
違うから意味がある、違って当たり前なのだ、このような価値観に目を向けると、別の側面が見えてくるのではないでしょうか?
生まれてから今まで、ご両親に限らず周りの方も、どうして、あなたと兄弟は違うのか?という疑問を投げかけてきたと思います。
けれども、その疑問自体がナンセンスなわけです。
違って当たり前だ。
これが腑に落ちると、同じこと、違うことに対して、こだわりがなくなりませんか?
兄弟と自分を比べてみたり、どの兄弟が、自分よりも多く親の愛を受け取ったのか?
こうしたことへのこだわりが、少なくなるような気がしませんか?
親子や兄弟の仕組み、その存在理由を考えてみると、今まで自分がこだわっていたところが楽になるかもしれません。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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