こんにちは、
最近私のところに、不動産関連や相続関連の話が多いです。
このようなご質問をいただきます。
これはとても難しい問題です。どのような弁護士が、良い弁護士なのかはその人によって違うからです。
ここは、仮に私が、この質問者さんの立場だとして、弁護士を選ぶとしたら、どのような判断基準で選ぶのか?これを書いてみたいと思います。あくまで私がお客さんだとしたら、ということで、このチェックリストが万人に当てはまるわけではありません。
1 お客さんと弁護士とのミーティング内容を録音することにOKな人
2 使う言葉が簡単な人
3 偉そうではない人
4 言葉が穏やかな人(炎上弁護士でない)
5 専門分野を知っている人
6 自分には価値がないことを知っている人
順に説明します。
1 お客さんと弁護士とのミーティング内容を録音することにOKな人
まずこれです。
おそらく、この条件をつけて弁護士を選ぶと、10人の候補者が5人ぐらいになるのではないかと思います。
私が専門家で、クライアントさんがこのようにいったとします。
「先生との会話を録音して、後から自分でもう一度よく聞き直したい。弁護士さんの言ったことをよく理解できるように、聴き直せるようにしたいので録音してもいいですか?」
私は、このように思います。
ですから、このような姿勢を持っているクライアントさんでしたら、私が弁護士だったら、やりやすいなと思います。
けれども、自分の言ったことで、後から間違いを指摘されるのではないか?
あとから攻撃されるのではないか?
あとあと、それが自分の不利なことになるのではないか?
このような思いがあると、絶対に録音を許さないと思います。
これは、人から自分がどう見られるか、ということに意識が向いているのです。
自分が、クライアントさんの問題解決をどう助けることができるのか?
ここに意識が向いていないように思います。
ですから、録音を快く許可してくれる弁護士さん、このような方であれば、まず関係性がスムーズにいくと思います。
ちょっと話がそれますが、私はビジネス英語について、いわゆるビジネスマンの方に講座をさせていただいてます。
皆さんこれまで、たくさんの講座やプライベートレッスンなどを受けてこられたのですが、その内容をきちんと録音して、あとから聴き直す、という方はほとんどいないのです。
私はこれに、とても驚きます。
講座やプライベートレッスンなどは、相手が言う一言一句が、お金です。
自分がそこに欠けているエネルギーやお金の対価になると私は思うのです。
自分の集中力が途切れたら、相手の言うことは頭に入りません。
その一回のレッスンだけで吸収できないことがあります。
またその時には、自分の頭に入らない内容もあります。
だから録音して何度も繰り返し、その英語講座で教わった内容を、そっくりそのまま覚えてしまうようにするのです。
私が、仕事をしながら、イタリア語や英語、ポルトガル語などを身に付けていったのは、このようにしてレッスンを受けていたからだと思います。
もともと持っている語学の才能とかではありません。
弁護士さんとの会話にしても、このような姿勢で弁護士さんとのミーティングを持てば、問題解決もスムーズにいくのかと思います。
けれども、不思議なことに、ほとんどの方がこの音声を聴き直すと言うことをしません。
何故かというと、自分が遠ざけたい、背を向けたい、まともに向き合いたくないと思っている問題点を、自分の前に、また突きつけられるからです。
自分が見たくないと思っているものなので、無意識のうちにそれを避けようとします。
だから、自分が問題を解決したいのかという自分の意思を、もう一度自分で確認してみる必要があります。
早く問題を解決しよう、心を軽くしよう、と思うなら、その問題を避けているのではなく、思い切って、向き合って見られることをお勧めします。
そのためには、弁護士セッションの録音・聞き直しはとても効果があると思います。
ただし、弁護士さんがクライアントさんのために話すけど、オフレコにしてほしい、と思うこともあります。
ですので、「差し支えない範囲でかまわないので、後から聞き直しさせてください」
とお願いするのがいいですね。
そして、弁護士さんが、ここはオフレコで、という時には無理に音声を残さない、こんな配慮もあるといいですね。
2 簡単な言葉を使う人
次はこれです。
私も、不動産の問題について、一般の方とお話しするときには、なるべく専門用語を使わないようにしています。
「有責配偶者」ではなくて「浮気したご主人のほう」
「期日に出廷しない可能性」ではなくて、「事前に裁判所からご主人に連絡が行っても、当日、ご主人が裁判所に来ないことも考えられますね」
など、なるべく素人にわかりやすいもの使ってくれる方がいいと思います。
お客さんのほうも、わからない言葉があったら、弁護士の先生を遮って、「すいません、それはどんな意味なのでしょうか?」と聞いてみることが大切です。
このようにして、相手の話のレベルを自分の理解度に合わせてもらうということが大切だと思います。
けれども、人によっては、頭が良い弁護士さんは信頼できると信じている方がいます。
あの先生は自分にはわからない言葉をたくさん使うけど、おそらくいい大学を出て、優秀な弁護士なんだろう、だからこの人に任せておけば大丈夫だ、このように思う場合もあります。
この方の信頼できる弁護士の基準は次の通りです。
信頼できる=優秀=頭が良い
頭が良い=自分のわからない言葉をたくさん使う人
このように考える方は、難しい言葉をたくさん使う方を選べばいいと思います。
しかし、私は、このようなタイプの方は、誤解を生じやすいと思いますので、避けるようにします。
単語は同じでも、話し手と聞き手で別の内容をイメージしている場合があるからです。
けれども、上のような判断基準を持っている方には、この選択基準は当てはまらないと思います。
3 偉そうではない人
次はこれですね。
これは、「人から馬鹿にされてはいけない」こういう思いが弁護士の方に強くあると、その人の態度や振る舞いが横柄になります。
私も、自分自身に言い聞かせているところです。
私はかつて、この「馬鹿にされてはいけない!」というブロックがとても強かったので、いろいろなところで苦労しました。
クライアントさんによっては、弁護士の対応を見て、頼りにならないな、情けないな、などと思うクライアントさんがいるでしょう。
でも全員が全員、そうではないと思います。
自分を大きく見せたい、と思っている方に吸い寄せられるのは、やはりご自身に劣等感があるような方(お客さん)ではないかと私は思っています。
自分を偉く見せたからと言って、お客さんの問題が解決するとは限りません。
そうなると、自分を偉く見せる必要はなくて、自分ができることを、誠意を持ってやっていけばそれで専門家としては充分なのではないかという気がしています。
4 言葉が穏やかな人(炎上弁護士でない)
言葉が穏やかでない、というのは言葉が強い、ということです。
絶対、ありえない、必ず、徹底的に、許しがたい、値しない、どんなことがあっても
などなど、私は強いなと思います。
弁護士さんもいろいろな方がいます。
お互いの言い分をよく聞いて、落としどころというか、妥協できるところを探ってくれる方もいます。
けれども、質問者さんが、自分がとても傷ついていて、被害者であると信じているとします。そうすると、自分と寄り添って、とことん戦ってくれる方、自分が信じる正義をとことん貫いてくれる方が良い弁護士だと信じる傾向もあります。
戦うことに意欲満々な弁護士は、言葉の中に攻撃的な表現や強い語調の表現を多く含むようになります。
私が、これまで様々な方のお話を聞いてきた中で考えるのは、争いや対立は「どっちか一方が100%悪い、100%正しいという事は無い」、これです。「盗人にも三分の理」ですし、ほとんどの場合、お互いどちらも同じです。
さらに宇宙の法則に当てはめて考えると、お互い同じ思いをもっている事がほとんどです。
私はこれだけ正しいのに、なぜ相手はこんなに間違ったことを押し付けてくるのだろう。
私はこれだけ誠意を尽くしたのに、相手はなぜこれほど自分を攻撃するのか?
私はこれだけ被害を受けた。だから相手は罰せられてしかるべき。
これは、お互いが相手について思っている、これが揉め事の本質ではないかと思うのです。
そうすると、お互いの見方を変えていきながら、折れること、自分の我を通さないことを見つける、これも解決法の1つだと思います。
私はこちらの解決法を、まず取ることを勧めます。
ですから、我を通すのではなく、お互い折り合っていく、この姿勢を持っている弁護士さんに頼みたいと思います。けれども、弁護士さんが、勝つこと、相手をまかす事に生きがいを感じていると、本当はお互いが揉めたくは無いのに、火に油を注いで炎上させる、このような例もいくつかあるように思います。
ですので、弁護士さんが発信しているブログやウェブサイト、そしてその方がおっしゃる言葉をよく聞いて言葉が穏やかか強いのか、ご自身で感じてみるといいと思います。
5 専門分野を知っている人
意外と思われるかもしれませんが、この条件は他の条件に比べるとそれほど重要ではないように思います。
例えば、相続のことで相談に行ったとして、それ以外の事、例えば交通事故の事などを聞いてみるといいと思います。
ご本人が、「私はそういう事件はあまりやっていないので知り合いを紹介します」、と言ったとします。
あーなるほど、この方はご自分の専門分野のお仕事を、中心にやられようとしてるんだなと言うことがわかります。
専門以外の分野のことをやっているからといって、その弁護士の方が有能でないとか、安心できないということではないと思います。
「この分野の事件はあまり担当していませんが、数多く担当したことがある弁護士と相談しながらやっていきます。」とおっしゃってくれるのであれば、とても心強いと思います。
6自分には価値がないことを知っている人
これも他の条件と関連してるとこです。
クライアントさんは、その弁護士が有能であることを証明するために、存在するわけでは無いのです。
私は、存在意義が逆だと思っています。クライアントさんに何かお困り事があり、その困りごとを解決する、その手助けをするために弁護士が存在するのだと思います。
だから究極のところ、この弁護士自体が、ほかから良い評判を得るとか、認められるとか、感謝されるとか、こういう事は問題の本質に関係ないと思っています。
けれども、外から自分がどう見られているのか?
これが気になる方は、やはり物事の本質よりも、自分の評判に意識がいってしまうのではないかと思います。
ここは、なかなか見極めが難しいところですが、すでに挙げた条件を満たすような方は、おそらくこの条件は大丈夫だと思います。
「自分の自尊心」や、「認められてる感」、を満たそうとして行動する事は無いように思います。
自分に価値がない、というと身もフタもない気がするのですが、自分の存在意義をアピールしないという事ですね。
以上、まとめてみるとこのようなポイントになります。
1 録音OK
2 使う言葉が簡単
3 偉そうではない
4 言葉が穏やかな
5 専門分野
6 自分には価値がない
これは、他の職業にも当てはまると思います。
私が、なりわいとしている不動産鑑定や、税理士・公認会計士なども同じではないでしょうか?
また、講座や講演などをやっていられる、いわゆる講師業をやってる方にも当てはまると思います。
書きながら、自分もまだまだできていないな、と思うことが多々ありました。
こうして機会をいただいたのも、自分の身を振り返ると言う事かもしれません。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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