こんにちは、
コロナ後の世界、ニューノーマルが始まりました。これまでの、いわゆる業界の常識は通用しなくなっているかもしれません。
今日は、KDDI設立の事例で、新しい事業をどのように起こしていくのか?これを考えてみたいと思います。
その時、稲盛名誉顧問は、「日本の通信料金を安くしたい。そのためには競争にしなければならない。そしてそれは決して儲けたいという気持ちからのものではない」と挨拶されました。みんなそのことに心から賛同し、一緒にやりましょうと誓いあったことを思い出しました。
→ この先、外国人の投資家が日本の不動産や企業に投資する、これが進むと思います。これを助けるときの動機について考えさせられました。日本の国土や企業を売ってお金を儲けるためであってはならないと思うのです。
土地がその持っている潜在価値を十分に発揮するために、
日本の企業が、安定してずっと成長していけるために、
このようなお手伝いができるか、これを考えてみたいと思っています。
「素人集団を率いてのKDDIの立ち上げはご苦労が多かったのではありませんか?」という問いに、立ち上げに参画した幹部の方は、このように答えられていました。「逆に言えば、若い連中でもやらせれば、やれるということです。稲盛顧問は若い人たちに『いちどしかない人生だから、この素晴らしい可能性に挑戦しよう』と訴えかけておられました。」
短時間でお客様を獲得できた点について
「私は適材適所に社員が配置されたことも良かったのだと思います。中でも営業になっていたのは京セラの出身者でした。事業がだんだん広がっていくにつれて、営業所を作っていくのですが、人がいません。それまで京セラでカメラを作っていたヤシカ出身の人たちが来てくれて、本当に頑張ってくれました。」
→ 人材はいつも大変な問題です。カメラを作っていた人たちに電話サービスの代理店獲得をしてもらう。全く畑違いの人たちに、ここにモチベーションを持っていただいて、結果を出していただくのに、稲盛氏がなさったことが大きかったのだと思います。いかにその仕事の意義を営業の社員に理解させるか?そして営業が成功するように指導する、稲盛氏の指導の仕方、これまでの機関紙でたくさん書かれていました。
首都圏の市場の取り合いについて、「まんじゅうのあんこを全部とられて、皮だけ食べる」、とか「皮ばかりでどうするんだ?」とかいろいろな表現をされました。
「稲盛氏は、皮でも食べていれば死ぬ事は無い。『負けて勝つ』の言葉通り、成功のために全力を尽くし、その皮を黄金の皮に変えよう、と逆に闘志をもやされたそうです。」
また、収支計算の先見の明についても述べられています。
「どういう計算をされたのか分かりませんが、稲盛氏は、収支を計算され、これだけのお客様をとればペイするということも把握しておられました。
関西セルラー電話の開業にあたって、二年間で契約数27,000件まで行くだろうと予測していました。通常、設備は1年先の需要予測で作るのですが、稲盛顧問はもっと売れると見ていらして、丸々2年分の容量の設備投資を決断されたのでした。そうしたら、サービス開始した年の年度末で36,000件と、予想を遥かに超えたので、慌てて増設工事を行いました。まさしく稲盛顧問がおっしゃっていた、携帯電話が主流になるということと一致したわけです。
→ 需要の予測は、本当に難しいことだと思っています。それをここまで正確に予測されるとは、並々ならない集中力だと思います。
今回の最初のほうの完璧主義を目指すという所でも書かれています。
京都パープルサンガの練習場に行き、ゴールに向かってシュートしても枠内に入らない練習を見て稲盛氏はこのようにおっしゃいました。
「私はサッカーの事はよくわかっていませんが、練習の時から有意注意で神経を研ぎすませて、必死にやらなければならないはずです。試合ともなれば、相手のディフェンダーが入り込んで足を出してきます。そのわずか一瞬のすきをついてボールを蹴らなければなりません。神経がくたくたになる位に集中して、毎日の練習をしなければ、そのようなことはできないはずだと思うのです。。。。確かに完璧、100%は難しいかもしれない、難しいかもしれませんが、100%でありたいと思って部下を指導していくのか、それとも100%要求しても無理だ、要求すること自体がおかしい、そんな厳しいことを言ったら部下はついてこない、と思って指導していくのか。もし後者なら、やがては100%どころか、80%、70%で妥協するようになってしまうでしょう。ですからなるべく厳しい基準を課して完璧を目指していかなければならないのです。」
需要の予測を過小に評価したら、その一瞬の、本当に取れる売り上げを失います。タイミングが先になったのでは、これほどの売り上げは取れないかもしれません。そしてまた需要の読みが甘く、作りすぎてしまったのなら、過剰な投資から負債が膨れ上がり、経営を圧迫することになります。
これは、サッカーの試合で、非常に難しいコースからシュートを決める、この練習と似ています。失敗したら取り返しがつかないので、普段から全神経を集中して物事を考える訓練をしている、このようなことだと思いました。
KDDIを作るとき、トヨタも含む三社の合併の話が書かれています。稲盛氏の言葉を抜き出します。
「NTTの見直しを期待したし、審議会でもそういう答申が出た。しかし諸般の事情によってそれがひっくり返り、また独占に逆戻りするような風潮になってきた。憂慮しています。
。。。。NTTの対抗軸を作ることがどうしても必要です。それは決して私心から出ている想いではない。利己的なことを言っているのではなく、NTT独占に対抗する事は国民のためになることです。そこはぜひ心してほしい。立派な経営をしておられるトヨタさんも、ぜひ経営に参画していただきたい。
。。。どういう形になってもトヨタさんと京セラの持ち分比率2%の差だけは維持させていただきたい。京セラを立ち上げ、やっと一人前になったところで、大きなリスクを取ってDDIを立ち上げてきた。そうした実績を評価していただきたい。しかしトヨタさんは第二の大株主です。そこに後から入ってくると言う事はありえない。そこまでして、私どもとしては一緒になりたいと思っています。ただし、存続会社は、おこがましいのだけれども、DDIにしていただきたい。それ以外の事には柔軟に対応します。人事については実力主義で行きます。。。。。
ただし一期については、諸般の情勢があるし、今までの経過があることから、現在のDDI経営陣にお任せいただきたい。一期経った次の株主総会以降は、完全に自由にします。。。。。三社の合併する最大の利点はリソースの統合です。3社がそれぞれ持っているリソースを統合すれば、多様な選択肢が生まれます。その多様な選択肢の中で、それぞれの企業文化が生かせる面があるでしょう。それがうまくできるかどうかは、これからの経営陣の責任です。企業文化の違いを、あえて乗り越えていきたいと思っています。小異を捨てて大同についていただければ、これほど嬉しい事はありません。
合併後のフィロソフィーで稲盛氏が話されたのは心を高める、経営を伸ばす、そして「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」という人生の方程式でした。
PHS事業を立ち上げる9人の社長候補に告ぐという社長の心得8箇条について紹介していただいてます。
8、判断の基準を慣行、慣習常識に置くのではなく、人間として何が正しいのか、に置くこと。原理原則に基づいて判断、決断をしなければならない。
そして最後に、DDIが東証2部上場するときの話が書かれています。
「『私心があると周りから見られたら、全てがパーになる。私は株はいらない』と言われました。ここまで苦労されたのですから、少しは…と私が粘っても、『いや、それをやったのではいかん』とおっしゃいました。結局、稲盛顧問が創業者であるにもかかわらず、DDIの株式を一切受け取られませんでした。」
→ ここは、中国で講演を行った時に、稲盛氏がこの話をされ、会場の聴講生が大きな拍手をしたところです。中国でこのようなリーダーが見つからないのではないかと思います。
人間として正しいことをする、その大切さを学ばせていただきました。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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